【NOSTブログ‣2026年10月 第1回】報告しても「あ、そうなの」で終わる。経営者が動き出す健康経営は、何が違うのか

——【入り口編】健康経営を、経営の仕組みにする。まずは「役割」を4つに分けてみる

経営者と担当者の距離がある2層の状態から、4つの役割がつながる4層へ変わるイメージ

9月号では、調査票を出し終えたあとの「疲れた」の正体は手応えのなさにあり、その根っこは、健康経営が「担当者任せ」になっていることだとお伝えしました(9月号の第2回)。

では、担当者任せを卒業するには、何が必要なのでしょうか。今月の連載(2026年10月号)は、視点を経営に移して、健康経営を「経営の仕組み」にする道のりをお伝えします。

第1回は入り口です。経営者に報告しても「あ、そうなの」で終わってしまう理由を、役割の置き方から見ていきます。

この記事でわかること

  • 報告が「あ、そうなの」で終わるのは、伝え方だけでなく、役割の置き方に理由があること
  • 多くの会社の現状である「2層」と、当社が提案する「4層」の違い
  • 4層は、部署を増やすことではなく、役割を明確にすること

目次

  1. 報告しても「あ、そうなの」で終わる
  2. 現状は「経営層」と「産業保健チーム」の2層
  3. 役割を4つに分ける「4層」の考え方
  4. まとめ:経営の仕組みへの入り口

1. 報告しても「あ、そうなの」で終わる

産業保健の担当者が、健診の結果や施策の実施状況を、経営層に報告する。真剣に聞いてもらえたのに、返ってくるのは「あ、そうなの」の一言だけ。そんな場面に、心当たりのある方は多いのではないでしょうか。

経営者に、関心がないわけではありません。専門分野の報告を受けても、経営者の立場では、コメントのしようがないのです。経営者の本音を代弁すると、次のような気持ちかもしれません。

頑張ってくれているのは分かる。ただ、これで会社の価値が上がるのかどうかが、よく分からない。

9月号でお伝えした「経営者の壁」は、届ける言葉が見つからない、という翻訳の課題でした。言葉の工夫に加えて、今回は、その背景にある「役割の置き方」に目を向けます。

2. 現状は「経営層」と「産業保健チーム」の2層

当社の支援の現場で見えてきたのは、多くの会社で、健康経営が「経営層」と「産業保健チーム」の2層で回っている、という姿です。

産業保健チームは、日々の健康管理の実務を担い、調査票の回答をまとめ、経営層への報告や提案まで担います。守りの土台を整えながら、経営への橋渡しまで、一手に引き受けているのです。

この構造では、次のようなことが起きやすくなります。

立場起きやすいこと
経営者専門分野の報告にコメントしようがなく、「これで企業価値の向上になるのか」という思いが残る
担当者経営者の関心が得られず、担当者だけが汗をかく
従業員これまでの産業保健活動と、あまり変わらない

産業保健は健康経営の基盤であり、ここを整え続けることは、これからも変わりません。課題は産業保健の中身ではなく、一つのチームが、実務から経営への提案まで背負う、役割の置き方にあります。

3. 役割を4つに分ける「4層」の考え方

当社は、この2層を、役割の違いに合わせて4層に分けて考えます。

層主役役割
第1層 企業価値向上経営層経営会議で、施策・活動の有効性を計画的に投資判断する。ステークホルダーと対話する
第2層 健康風土醸成風土改革チーム(KGIリーダー)経営方針から導いたKGIをめざして、施策のPDCAを回す
第3層 健康課題解決産業保健チーム産業保健活動のレベルアップを進める
第4層 認定申請健康経営事務局第2層・第3層の取り組みを取りまとめ、調査票に反映して申請する

新しく加わるのは、第2層の風土改革チームです。KGI(目標の達成度を測る指標)をめざして、施策のPDCAを回します。

この層が入ると、景色が変わると当社は考えています。経営者には、従業員のパフォーマンスと企業価値向上の話になり、経営の言葉で語れるようになります。従業員には、ワーク・エンゲージメント(仕事にやりがいを感じ、活き活きと取り組めている状態)の向上につながり、自分ごとになります。そして担当者は、汗をかく人から、全体を取りまとめる人になります。

第4層の事務局を分けるのは、産業保健チームが、今後の健康経営の事務局になるとは限らないからです。

誤解のないようにお伝えします。4層は、部署を4つ作る話ではありません。決めるのは、4つの「役割」です。小さな会社では、一人が複数の役割を兼ねても構いません。ただし、役割は混ぜません。

4. まとめ:経営の仕組みへの入り口

「あ、そうなの」で終わる報告は、担当者の伝え方だけの問題ではありません。役割の置き方を変えれば、経営者が動き出す余地が生まれます。

まず、自社の健康経営を、4層に当てはめてみてください。どの役割が、まだ誰にも置かれていないか。そこが、最初に手を入れるところです。担当者の悩みは、会社の仕組みを見直すきっかけになります。

【次回のブログでは】
では、新しく加わる第2層の風土改革チームは、何をもとに、どう動くのでしょうか。次回は【基本形編】として、経営方針から描く設計図と、KGIリーダーが回す仕組みを、A社・B社の考え方でご紹介します。

<Let us hear from you>
あなたの会社の健康経営は、いま、どの層で回っていますか。4つの役割のうち、まだ誰にも置かれていないものがあれば、お問い合わせからお知らせください。


橘田 孝(ノストライフ株式会社 代表)。制御機器メーカーで35年にわたり、経営企画、M&A、人材戦略などを担当。経営者や経営企画の視点から、各社の経営方針を実現する健康経営の伴走支援を行っています。

まずは、貴社の「モヤモヤ」
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