お悩みと解決の糸口
Issue
Issue
- TOP
-
お悩みと解決の糸口
健康経営について、素朴な疑問や悩みを一緒に考えて
ディスカッションするところから、私たちは伴走したいと思います。
これまでに伺った内容から、
本質的なお悩みと一緒に解決していくための糸口をご紹介します。
皆様からの「そうは思わない」「こういう考え方をしている」というご意見も含めて、
ぜひ、ディスカッションさせてください。
「お問合せ」のフォームからもお声を聞かせていただければ幸いです。
健康経営への悩み
健康経営って何をすることなの?
「人的資本」を、健康投資を通して拡大する経営戦略です
人的資本である社員が、元気にイキイキと働ける環境を経営レベルで積極的に整備していくことが健康経営です。健康診断やストレスチェックなどの従来の産業保健分野での安全・健康配慮義務に特化した健康管理に留まらず、社員がいつでもパフォーマンスを発揮できるようにするためのコンディションケア、さらには、自社に合った働き方の改善や、職場の活性化につなげる施策の導入・展開なども、健康経営の一環として大切な取り組みです。健康経営は導入したら終わりではなく、社員のエンゲージメント(働きがい・貢献意欲)に結び付いているかなどを定期的に評価して改善していきます。
健康経営に取り組んだ方が良い理由は?
社員が「ここで活躍したい」と思える会社にすることです
健康経営に取り組む目的は、「自社の商品やサービスを通して実現したい社会の姿」に共感した社員が集まり、「ここで活躍したい!」と思える会社をつくることです。自社の事業や働き方に結びつけた、自社ならではの健康経営を志向する企業には、その想いに共感した人材が集まり、離職率が低下し、エンゲージメントが高まります。経済産業省が推進する『健康経営優良認定法人』の認定取得が目的になってしまい、社員から見たら「マークは取れたけれど何も変わらない」という状況にならないようにしたいものです。
健康経営は何から取り組んだらよいの?
経営者による「健康経営宣言」から始めましょう
自社ならではの健康経営の方針を盛り込んだ経営者による「健康経営宣言」がスタートです。例えば、カゴメでは、お客さまの健康の増進に貢献する商品・サービスを事業展開する中で、従業員一人ひとりが心身共に健康であることが重要であるとして、「①バランスよく栄養摂取、毎日野菜350g」「②毎日すっきり、ラブレを飲んで」などのカゴメ健康7ケ条を中核とした食品メーカーならではの健康宣言をしています。大切なことは、自社が事業を通して社会に貢献する役割と、社員の誇りややる気のベクトルを合わせた健康経営の方針に基づいて展開していくことです。
健康経営と福利厚生の違いは?
企業が成長するための「投資」が健康経営です
健康経営は、企業が成長していくために、社員がイキイキと活躍できる環境を整備する投資です。産業保健として管理している社員の健康データに加えて、人事データ(欠勤率・離職率・教育研修費用など)や経営データ(一人当たりの売上・利益など)を集めつつ、社員の満足度や貢献意欲がどう関係していくのかをみながら改善していく経営戦略です。一方、福利厚生は、社員に対する報酬以外の間接的なベネフィットの提供であり、社員のつなぎ止めのためのコストです。社員の個人的なレジャーへの費用補助は福利厚生の施策ですが、Apple社の働き続けたい女性を支援する卵子凍結のための費用援助は健康経営の施策といえます。
研修への悩み
健康経営のために必要な研修は?
「攻め」の研修にも取り組みましょう
経済産業省が推進する『健康経営優良法人認定』では、「ヘルスリテラシー」に関する研修の実施を求めています。生活習慣病の予防や職場のストレスを減らすための学びの場として大切ですが、最近では心の健康やハラスメントといった「健全な職場づくり」のための研修も重要です。さらに、健康経営の本来の趣旨である「社員の生産性向上」につなげる「攻め」の研修も必要です。社員の「もっと貢献したい!」「ここで活躍したい!」という成長を促す研修として自社ではどんな内容を盛り込むかをしっかりと検討したいですね。一例としては、言いたいことが言える職場づくりのための心理的安全性を高める研修などはいかがですか?
座学だとマンネリ化しませんか?
「わかること」から「できること」へと展開しましょう
健康経営に関する社員研修として、「メンタルヘルスに関する教育」の関心度が高まっています。その背景には、精神疾患を患う人は、年間400万人を超え(厚生労働省・疾病調査)、今や成人の4人に1人以上が経験するという状況があります。座学での研修で「わかる」ことは大切ですが、自分の職場に持ち帰って展開することが「できる」ためには、ケーススタディを含めたワークショップを多用することが大切です。メンタルヘルスを単なる知識で留めるのではなく、職場における声がけや、周囲からのサポートなどについてしっかりと話し合い、活用できるレベルにすることが大切です。
どこまでが健康経営に関する研修の範囲なの?
「生産性向上に関わる研修」を健康経営に関する研修と位置づけましょう
研修には、新人研修や管理職研修などの節目で実施する「階層別研修」や、各種スキル習得を目的とした「目的別研修」などがあります。「健康経営に関する研修」について、健康や疾病に関する理解を深める研修と狭義に解することもありますが、健康経営の本来の目的は、社員の生産性の向上ですので、シンプルに、生産性向上に関する研修を健康経営に関する研修と位置づけてはどうでしょうか?例えば、プレゼンテーション研修も、伝えたい趣旨を的確に伝えることで相手の時間をムダにせずに効果的なコミュニケーションを図ることをめざす内容であれば、生産性向上に関わる健康経営の研修と位置づけてみてはどうでしょう?
社員のコンディションケアへの悩み
社員のコンディションケアは自己責任では?
企業の責任であり、かつ、企業の想いを伝えるチャンスです
「労働者は、自らの労働力を提供して、その対価として報酬を得る」という考え方をすれば、社員のコンディションケアは自己責任という言い方もできますが、企業には社員の健康に配慮する義務があることは法的にも明らかです。また、社員にとって、「自分達が健康で成長できるために会社がどれだけの支援をしてくれるのか」といった『知覚された組織支援/POS:Perceived Organizational Support)』の度合いによって、仕事へのコミットメントや満足度が大きく変わることも知られています。企業に求められる姿は、一過性の健康イベントに取り組むだけでなく、社員の健康を大切にする想いと、社員が常に高いパフォーマンスを発揮できる習慣化のための多様な環境を提供することです。
社員の健康増進よりも売上・利益が先では?
健康経営は会社の長期的な発展のために行います
経営者による健康経営宣言に基づいた健康経営を展開しても、現場のマネージャーが「社員の健康増進にお金や時間を使うよりも、売上や利益を上げることが先では?」という態度だとしたら、健康経営のベクトルと事業のベクトルが別物として扱われていることになります。健康経営は、社員一人ひとりがイキイキと輝いて生産性を向上することで、将来にわたって持続的に売上・利益をあげるため人的資本への投資です。社員の心身の健康増進の結果が、売上・利益につながるまでには時間的なズレがありますが、社員のエンゲージメントの向上は、長期的な会社の発展に欠かせません。そして、現場のマネージャーこそが、社員のコンディションを職場で気づかいフォローする「ラインケア」の要です。
健康経営でのコンディションケアのポイントは?
ポジティブヘルス(0次予防)が大切です
産業保健の分野でのコンディションケアは、「不健康の解消」をめざします。具体的には、不調のリスクを探査する「1次予防」に該当するストレスチェック、疾病の早期発見・早期治療をめざす「2次予防」に該当する定期健康診断、さらに、疾病発症後の復職指導をめざす「3次予防」があります。一方、健康経営としてのコンディションケアは、「組織全体での健康のベースアップ」をめざします。「ポジティブヘルス(0次予防)」とも呼ばれ、適度な運動・睡眠・食事を中心に、誰もが参加でき、組織全体で盛り上がって取り組めるプログラムづくりがポイントです。また、悩みを抱えていることでパフォーマンスが上がらないこともあるため、保健師や外部相談窓口への個別相談による不安の解消も大切になります。