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「やせ」に注意!女性に多い必要以上のダイエットのリスク
高度成長期以降、日本の食文化は変わり「肥満」が問題視されている反面、若い女性を中心に「やせすぎ」も増えています。厚生労働省も10年以上前から問題視をしていますが改善が見られていません。BMI値が18.5以下の「低体重(やせ)」の女性は、20歳代では21.7%と約5人に1人という状況です。(厚生労働省:「国民健康・栄養調査」2017年)
「美しい容姿を保ちたい」…このこと多くの女性が望むことでしょう。そして美容のためにダイエットに励んでいる人も少なくないでしょう。
確かに「肥満」は生活習慣病のトリガーになります。では、「やせ」はどうでしょうか。
健康診断でも「やせ」は肥満と同様に『要経過観察』となります。つまり、「やせ」にも疾病のリスクがあるということです。
今回は、「やせ」のリスクと健康的なダイエットについて見ていきましょう。
「やせ」が招くリスク
◉病気になりやすくなる
やせすぎているという状態は、栄養が足りていない状態とイコールです。栄養が足りていないことが原因で、免疫力が低下し病気にかかりやすくなります。糖尿病は痩せすぎの人にもハイリスク。また、BMI値の低い人は、病気になった際の予後も悪くなりやすいようです。
◉注意力散漫、倦怠感
炭水化物、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が足りていないと、集中もできず、活力が湧いてきません。
◉骨粗鬆症
カルシウムなどの栄養が足りず、骨密度が低下し、骨粗鬆症になるリスクが高まります。
◉女性ホルモンの乱れ、無月経、不妊
過度なダイエットでやせると女性ホルモンが乱れます。その結果、月経のトラブルや不妊、出産した子供の低体重にもつながります。ホルモンバランスが乱れ、エストロゲンの分泌が減ることは動脈効果のファクターにもなり得ます。
◉冷え、肩こり、肌トラブル
やせすぎていると、筋肉はもちろん脂肪の量も足りません。この状態では体が冷えやすくなり、血行不良が起こります。冷えによる肩こり、むくみ、顔色の悪さ、肌荒れも起こりやすくなります。
◉摂食障害
体重に執着しすぎるあまりに、拒食したり無理なダイエットの反動で過食に走るといった「食」のコントロールができなくなるリスクが高まります。長期化してしまうこともあり、適切な治療をしないと最悪の事態を招きかねません。摂食障害の多くがダイエットをきっかけに発症していることは気に留めておきましょう。
適正体重をチェックしましょう
BMIについておさらいしておきましょう。BMIは、Body Mass Index(ボディ・マス・インデックス)の略称で肥満度を表す国際的な指数です。日本でも肥満の診断基準や特定健診・特定保健指導の基準として用いられています。
体重(kg) ÷ 身長(m)の2乗 で計算できます。
【参考】目標BMIから目標体重を逆算するなら「身長(m)の2乗×目指したいBMI」です。
出典:一般財団法人日本肥満学会
適正体重はBMI値22で、最も病気になりにくいとされています。BMI値 22が標準体重と定められた根拠は、30才~59才の日本人男女約5,000人の健康診断の結果を調査したところ、BMI値22の人達が異常値が少なかったためです。
近頃ではBMI値20が「美容体重」、BMI値18以下の体重は「シンデレラ体重」と呼ばれ注目されています。しかし、欧米では痩せすぎのモデルはファッションショーの出演に規制がかかるなどしています。必要以上のダイエットは要注意です。
脂肪率も合わせてチェックしましょう
BMI値が低くても、脂肪が多く筋肉の少ない「隠れ肥満」の場合もあります。体を鍛えているアスリートの多くはBMI値が22より高いようですが、脂肪率が低く筋肉量が多いためでしょう。
出典:一般財団法人日本肥満学会
ダイエットをすると体重に気を取られがちですが、体脂肪率のチェックも必要です。最近は、自宅用の体重計でも脂肪率などが測れるものがほとんどです。ダイエットをする場合は、体重にばかり偏らずに多方面から体の変化をチェックしましょうう。
健康的なダイエットをしましょう
ダイエットは誰かと比べて行うものではなく、自分の心身の健康維持のために行うものです。食事の量のコントロールと運動を併用して、心身に過度な負担をかけない健康的なダイエットをめざしましょう。睡眠不足も肥満の元になります。ダイエットを成功させるには生活スタイルを整えることがマストです。
◉摂取カロリーが消費カロリーを上回らないようにしよう
ダイエットには食事で摂取するエネルギーを、身体活動で消費するエネルギーよりも少なくする必要があります。1日の基礎代謝量は、成人女性で約1,150Kcalです。デスクワークであれば500Kcalプラスした1,650kcalが1日の消費カロリーです。
1,650kcalよりも食べる量が多いと体重は増えます。そうかといって摂取カロリーを基礎代謝以下にすると筋肉量が減り、太りやすくなってしまいます。摂取カロリーは1,200Kcalを下回らないようにしましょう。しっかりと噛んで食べることで、幸せホルモンの「セロトニン」が分泌されるのでストレスの抑制にもつながります。
◉植物繊維・たんぱく質をしっかりとりましょう
豆類やオーツなどの食物繊維を摂ると消化がスムーズになり、デトックスにつながります。おやつにもさつまいもや柑橘類をチョイスしましょう。エネルギーになる炭水化物も全粒粉のパンや玄米などにするとストレスケアにもなります。
筋肉量をキープし代謝を高めるためにもダイエット中は、特に、肉・魚・玉子・大豆製品などたんぱく質もしっかりと摂りましょう。高タンパク低カロリーの物がオススメです。プロテイン入りのシリアルやサラダチキンなどを上手く活用しましょう。
◉運動を取り入れ消費カロリーをアップしましょう
「ちょっときつい」と感じる程度の有酸素運動をしましょう。できれば毎日10分以上。難しい場合は週末に60分ほど歩きましょう。筋トレで筋肉量を増やすと、さらに有酸素運動の効果はアップします。ストレッチで体をケアすることも大切です。筋肉がほぐれると老廃物が排出されやすくなります。
運動はダイエット中のストレスを軽減する効果もあります。
◉リバウンドしにくいペースで続けましょう
体重を減らす目標は、1ヶ月でマイナス1kg程度。「もっと大幅に減らしたい」と感じるかもしれませんが、これ位がリバウンドしにくいペースです。ゆっくりペースでも、きちんと運動しバランスの取れた食事をしていると、肩こりの改善や顔色も良くなり、はつらつとしていきます。
◉夜更かしはダイエットの敵!睡眠もきちんととりましょう
睡眠中に成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは筋肉を修復し、脂肪をエネルギーに変える働きがあります。睡眠時間が少ないと、成長ホルモンが分泌されずダイエット効果は落ちてしまいます。
極端なダイエット法は避けましょう
成功したダイエットとは、減量後も体重がキープできていることです。リバウンドしないことがダイエットでは重要です。以下のようなダイエットは、リバウンドの可能性が高くオススメできません。(ドクターや専門家の指導下にある場合は除く)
- 特定のものだけを食べる(飲む)
- 置き換えダイエット
- 〇〇カット、〇〇オフ
- 楽にやせるとうたっているサプリメント
- 食事を抜く
例えば、1食を100Kcalのダイエットドリンクに置き換えるダイエットをするとします。カロリーの摂取量が今までよりも減るので、ダイエットを始めてすぐは体重が減るかもしれません。ですが、このようなダイエットでは強い空腹感を感じてしまいます。ストレスも相当に高まります。その結果、過食してしまいダイエット前よりも体重が増える…そうするとまたダイエットが必要になってしまう。同じようなダイエットを繰り返すと、体も心もボロボロになってしまいます。
男性と女性の体の違いも理解しましょう
男性から「あまり効果が出ていないのでは?」と、チクッと言われた女性もいるのではないでしょうか。女性は、どうしても男性と比べるとやせにくいのです。
それはホルモンの違いによるものです。男性にとっては筋肉がつきやすいなどポジティブに働くホルモンも、女性にはネガティブに作用します。月経前の食欲増進やイライラ、むくみなどの症状でなかなかダイエットがスムーズに進みません。
また、男性は内臓脂肪、女性は皮下脂肪が多い傾向があります。内蔵脂肪は皮下脂肪より運動で落ちやすいので、男性の方がやせやすく成果実感も早いのです。男性の皆さん、女性の体に現れる変化はゆっくりですから、優しく見守ってください。
まとめ
ダイエットは程度の差こそあれ、誰もが一度は挑戦したことがあるのではないでしょうか?「楽に早くやせたい」と思う方が多いと思いますが、コツコツと継続することがダイエットを成功させるための王道です。
必要以上に体重を落とすと、心身にダメージを受けてしまいます。食事のコントロールと運動を中心に「1ヶ月でマイナス1kg」を目標にダイエットをしましょう。
極端に少ない量の食事や偏った食事では、心身に必要な栄養が届かなくります。自身の心身の調子を観察しながら無理のないダイエットを心掛けましょう。
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