——【WHO・実践編】本質を整え、ありたい姿へ向かう。健康風土(攻め)と産業保健(守り)の役割分担

これまでのブログで、順位アップを目的とした活動から脱却し、現場の声を反映した「健康経営戦略フロー図(NOST流戦略マップ)」を作り上げるまでのプロセスをお伝えしました。
今回は、完成した設計図を実際にどう動かしていくのか。
「リソースがない」という多くの企業が抱える壁を越え、理想の組織へと変化していく実践のステップに迫ります。
目次
1. 経営トップの腹落ち:「健康経営=健康管理」ではない
プロジェクト当初、社長は「当社のような規模の企業ではリソースが足りない。KGI達成に向けた新しい活動も、従来からの産業保健の活動も両方ともプロジェクトメンバーでやるしかない」と語っていました。
しかし、現場の想いが詰まった「健康経営戦略フロー図」を見るなり、社長の認識は明確に変わりました。
「健康経営は単なる健康管理ではない。自社の経営戦略を達成するための人的投資なのだ」と深く理解されたのです。
2. 攻め(健康風土)と守り(産業保健)の役割を分担する
そこで、同社では活動を2つに分けることに舵を切りました。
1つは、ワーク・エンゲージメントを高める「健康風土の醸成」に向けた風土改革(攻めの健康経営)です。具体的にはこの会社の「健康経営戦略フロー図」のKGIの達成を目指す活動となります。
もう1つは、プレゼンティーイズムやアブセンティーイズムによる損失を低減する「産業保健の充実」(守りの健康経営)です。守りの部分については、保健師を招聘し、専門性を高めて計画的に展開していく体制へと様変わりしました。
それぞれに主役(担当チーム)を置き、役割を分担することが、結果として効率的であり、確実な進化へとつながることを理解されました。
3. チェック項目のためではなく、自ら語りたくなるシナリオ
健康経営度調査票の中には、「経営者が自ら健康経営について従業員に向かって語っているか」という趣旨の設問があります。
しかし、社長が全社員の前で語ったのは、調査票の設問にチェックを入れるためではありません。
経営者自らが語りたくなるような、自社の経営理念の実現に向けたシナリオ(健康経営戦略フロー図)が描けたからこそ、主体的に語る姿へと変わったのです。
4. まとめ:ありたい姿へ向けた次なるステップ
「健康経営戦略フロー図」の作成時点では、KGIなどの数値はまだブランクでした。
そのため、現状の位置づけ(AS ISの値)を把握するための社内調査を実施し、現在値と将来を見据えたKGIの目標値を設定する段階へと進んでいます。
目標を掲げるからこそ経営です。
「リソースがない」と立ち止まるのではなく、形を整えることから本質を整えることへ踏み出したこの企業の歩みは、多くの企業にとっての模範となり得ます。
【次回のブログでは】
今月のシリーズを通して、本業を強くする健康経営の変革プロセスを追ってきました。
次回は、毎年のように変わる「試験問題」のような調査票にどう向き合うべきか、シリーズ全体を振り返る【編集後記】をお届けします。
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