——【WHY・現状打破編】毎年の「試験対策」からの脱却。マーク取得の目的化から「本質的な健康経営」へのパラダイムシフト

お盆明けの8月中旬から、今年度の健康経営優良法人認定の申請がいよいよ始まりました。
この時期、多くの会社が「健康経営度調査票」の作成に追われています。
昨年度、健康経営優良法人の認定を取得したことで周囲から褒められ、「今年はブライト500(大規模法人であればホワイト500)に挑戦する」と意気込む経営トップの号令がかかることは、企業規模を問わずよく見られる光景です。
しかし、その裏で現場はどうなっているのでしょうか。
今回は、NOST(ノストライフ株式会社)が、実際のコンサルティング現場で直面したリアルな課題と、そこから「本質的な健康経営」へと向かう変化の軌跡をお伝えします。
目次
- 認定取得の次は「順位アップ」という経営トップの号令
- 産業保健の延長線上で疲弊する現場のリアル
- 「形を整える」から「自社の経営戦略」へのパラダイムシフト
- まとめ:社長自らがオーナーとなる新たなステージへ
1. 認定取得の次は「順位アップ」という経営トップの号令
健康経営度調査票の記入時期になると、多くの企業が毎年のように改訂される設問への対応に追われます。
前年度に認定を取得した企業では、経営層から「次はさらに上位を目指そう」という声がかかることが珍しくありません。
こうした順位やレベルアップを目指す掛け声は、中小規模法人だけでなく、大規模法人部門にエントリーしている大企業でも同様です。
しかし、その目的が「健康経営を通して自社をどのように変革したいか」という経営方針の実現ではなく、「より上位のマークを取ること」自体になっていないでしょうか。
2. 産業保健の延長線上で疲弊する現場のリアル
あるコンサルティング現場では、健康管理(産業保健)の活動は調査票対策のプロジェクト活動に留まり、専任の担当者もいない深刻なリソース不足の状態でした。
経営層からは上位認定を目指すよう指示が出る一方で、現場は必要最低限の活動をクリアすることや、目の前の課題対応に集中するマッチポンプ的な対応に陥っていました。
毎年のように変わる調査票の設問を追いかけ、担当者ばかりが汗をかく状況では、プロジェクトは疲弊の一途を辿ります。
毎年、認定のために事務作業を繰り返すだけの活動になってしまっていると、現場の社員からも「またマークを取るための活動でしょ」と冷ややかに見られてしまいます。
3. 「形を整える」から「自社の経営戦略」へのパラダイムシフト
当社は、健康経営優良法人認定制度にエントリーする企業に対しては、認定の順位アップを目的とするのではなく、「本質的な健康経営に取り組むことで、結果として認定などは後からついてくる」というスタンスへと変革することに伴走します。
健康管理の施策の充実を図るだけでは、本質的な成果には不十分です。
健康経営の本質は、自社の経営方針の実現に向けて、従業員に投資することでワーク・エンゲージメントを高め、本業の成長を加速させる経営(企業価値の向上)です。健康経営ガイドブック2025でも示されているように、自社の経営方針は他社とは違うため、健康経営は「100社100通り」であるべきです。
4. まとめ:社長自らがオーナーとなる新たなステージへ
調査票の設問要件を満たすという目的から脱し、本来の健康経営へと向かうためには、経営トップの強い意志が必要です。
実際のコンサルティング現場でも、社長自身がプロジェクトオーナーとして参画することを推奨しています。
今回の連載で紹介する事例では、当初「次はブライト500を目指す」と言っていた社長が、プロジェクト活動の中でメンバーの発言に触発され、自社の経営理念を実現するための健康経営の設計図を作成したことで、健康経営を自社の本業の強化に活用するといった新たなステージへの挑戦を始めました。
どの会社でも同様の課題を抱えていると共に、ボタンの掛け違えさえ修正すれば、この会社のように変革ステージへと進むことができます。
【次回のブログでは】
新たなステージに向かうためには、どのように現場の声を拾い上げ、自社ならではの健康経営の設計図(戦略マップ)へと落とし込んでいったのか。
次回は、【HOW・共創編】として、現場の「やらされ感」が「自分事」に変わる共創のプロセスをお伝えします。
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