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「職場全体で取り組む働きがい改革」について講演しました

当社代表が、2024年7月4日、東京都の外郭団体の東京都労働情報相談センターで「職場全体で取り組む働きがい改革」のテーマで講演しました。

当日は、働きがいが高い職場づくりに取り組むことは、企業にとって「儲けること(長期的な利益)」につながることをご理解ただいた上で、働きがい改革の実践について、ステップを追ってお伝えしました。

講演(セミナー)の反応は?

当日の講演(セミナー)は、①働きがい改革の必要性について経営者に納得していただくこと(or 経営者ではない方には、経営者を説得できるようになっていただくこと)と、②自社に持ち帰って働きがい改革を実践していただけることをゴールとして進めました。

このゴールを達成状況は、アンケート結果を通して以下のように確認することができました。

  • とても豊富な資料・アート的な表現・双方向のQ&Aを通して、抽象的・具体的・多角的にアプローチいただきとても良かった。日本的経営の振り返りもとても良かった。大変わかりやすかった。
  • 何のために取り組むのか今一つ定まらずにただ健康経営を目指してみようと動いていました。これからは羅針盤をもって動けるように心がけていこうと思います。
  • 大変丁寧に投影資料を準備&配布され、かつ、しっかり説明くださったのでよく理解できた。
  • 本日は有意義なセミナーを開催いただきありがとうございます。「働きがい改革」は企業にとって重要項目の一つと考えます。とても参考になりました。

経営者に納得していただくためには?

当社の代表は、経営コンサル・人事コンサルとしてのキャリアを積んできました。

「働きがい改革」は、経営者が当事者として主体的に理解して展開することが成功の大半を握っているといっても過言ではありません。

当日は、以下の「共有したい背景」からはじめました(Q&Aを投げかけながら進行)。

セミナー前日は、渋沢栄一氏が新一万円札の顔として登場した日でした。日本の資本主義の父である渋沢栄一氏が、70歳後半で自身の集大成としてまとめた『論語と算盤』は、一見矛盾する「道徳」と「ビジネス」を両立させることの重要性を説いています。

道徳的なビジネスこそ長期的に儲かるビジネスです。そして長期的に儲かるビジネスを展開することで、競争市場・労働市場・資本市場の3つの市場の中で持続的に成長することができます。

一例として、ユニ・チャームでは、「我々の目標は、利益を伴う持続的な成長である。利益が無ければ、消費者の欲求に応え続ける創造と革新に満ちた商品とサービスを提供することは出来ない。」として、利益こそが消費者の満足度の指標であるという経営を展開していることを紹介しました。

そして長期的な利益があってこそ、労働市場や資本市場とも良好な循環を築くことができます。『論語と算盤』を重視する経営とは、今風に言う『持続的に成長できるSDGs的な企業』を目指す経営ということです。

日本の労働市場環境は、生産年齢人口の加速度的な減少により、慢性的な人手不足の一途を辿っています。

そのため、「社員の健康・成長への投資」→「エンゲージメントの向上」→「組織としての生産性アップ」→「企業価値の向上」といった好循環につなげる経営として、「健康経営」「人的資本経営」といった考え方が必然的に注目されています。

人への投資は大切だと思いながらも、目の前の売上・利益・コストダウンを優先せざるを得ないという経営者が多いことと思います。

しかし、人への投資は、人件費(さらには福利厚生)として考えてはいけません。人件費は、労働者が働いた対価として払われるもの(労働者が先に動く・現在の価値への対価・コスト管理)ですが、人への投資は、経営者が先に動く将来への投資です。そして投資である以上、経営者は投資以上のリターン(生産性の向上)を追求すべきものです。

設備投資に取り組むものの、人への投資に取り組まないという経営はいかがなものでしょうか?設備投資で得られるリターンは数パーセントの改善に限られるかもしれませんが、人への投資はからは、もっと高いリターンが得られるはずです。

経営者が人への投資として取り組むべき領域は、「プレゼンティーイズムの解消」です。

健康リスクを抱える社員を対象とした疾病の早期発見・早期回復などの産業保健の分野での活動ではなく、全ての社員がイキイキと活躍できるウェルビーイングな環境を整備して(手段)、組織としての生産性と企業の中長期的な成長を獲得すること(目的)が、健康経営です。

自社に持ち帰って展開していただくために

当日は、以下のChapterからなるお話させていただきました(各Chapgterの勝負シートと共にエッセンスをご紹介します)。

Chapter 1:健康経営、人的資本経営、ウェルビーイング経営の本質と関係性について

Chapter2:ダイバーシティの本質について

Chapter3:社員が働きがいを感じるための職場づくりに欠かせない心理的安全性の高め方

Chapter 4:心理的安全性の高め方の実践的なポイント

参加者の皆様からいただいたご質問(Q&A)

当日はとても活発なご質問をいただきました。以下にその一部をご紹介します。

【Question】
経営者のマインド変革が欠かせないことは確かです。ですが、当社では経営者自身が自分の健康診断ですら後回しにしているような状況です。どうしたら良いでしょうか?

【Answer】
ぜひ、本日学んだことを経営者の方のお伝えください。その上で、以下の2つのことに経営者の方に当事者として積極的に関わっていただくことをおススメします。
第1に、経営者に「健康経営宣言」の作成に積極的に係わっていただきましょう。健康経営に取り組む際の第一歩が自社の「健康経営宣言」の作成ですが、往々にして協会けんぽなどが紹介している宣言文(例文)をそのまま使っているケースがあります。しかし、ビジネスの中身が各社ごとに異なり、働き方も各社ごとに違う以上、自社の健康経営がめさず姿も各社ごとに違うはずです。ちなみに、当社では「自社のミッション・ビジョン・バリューから、自社の健康経営宣言を作成するワークショップ」も提供しています。
第2に、経営者に「健康経営の目的」を理解していただき社内に伝導していただきましょう。健康経営は、産業保健分野の健康管理(未病・予防・早期回復)を徹底する活動ではありません。健康経営とは、社員がイキイキと成長・活躍できるウェルビーイング向上のための環境を整えること(手段)を通して、組織としての生産性を上げ、企業の業績を向上させること(目的)です。そのためには、社員のコンディションケアやパフォーマンスアップに向けて取り組むこと(=プレゼンティーイズムを解消すること)が大切です。経営者ご自身の健康診断受診は、産業保健分野での基本の「き」に過ぎません。大いに考え方を改めていただき、社内に対して健康経営の本来の目的を伝導することが経営者の責務です。経営者のマインドを変えていただくためには、当社のような外部の力を活用いただくことも一考です。

【Question】
自社の「働きがい」を調べようとしたら様々なサーベイツールがあります。さらに、残業時間などの働き方のデータと組み合わせて分析するとと何らか相関関係が見つけられそうです。どうやって(orどこまで)現状分析に取り組んでいったら良いでしょうか?

【Answer】
ご指摘のようにすでに様々なツールやデータがあり、使い方や工夫の仕方に迷うというのは自然なことです。こうした悩みに寄り添うDXのサービスを提供している事業者もいますね。
回答するにあたって、「働きがい」と「働きやすさ」との関係について、当社の整理をご紹介したいと思います。

「働きやすさ」は、マズロー欲求5段階でいう「生理的欲求」や「安全欲求」の段階に位置づけることができると思います。そのため「働きやすさ」が不足している状態に対しては早急に改善施策を打つ必要があります。
一方、「働きがい」は、社員個々人が「必要とされている」「成長を感じられる」という「社会的欲求」や「承認欲求」のレベルです。そのため「働きがい」の現状(さらには改善のための要望)を調査するためには、社員との対話が大切だと思います。「ゆるブラック企業」という言葉もあるように、「働きやすい」はあるものの「成長する機会」がない企業では離職者が絶えないというデータもあります。
ご質問の趣旨に話を戻します。様々なデータが入手可能になると、例えば、エンゲージメントサーベイデータと勤怠データを掛け合わせることで人事部としてケアする対象者をあぶりだしたいという発想を持つことは理解できます。こうした取り組みは、大企業で社員の顔が見えない場合に、仮説に基づく予測をすることで潜在的なリスクがある社員を想起に発見するという対応策として考えられますが、社員の顔が見える場合には、ぜひ、タウンミーティング・OKR・One on Oneなどの社員との対話の機会を通して「働きがい」を把握していただくことが大切だと思います。こうした対話ができている前提でエンゲージメントサーベイデータを活用して、エンゲージメントが高い職場と低い職場の違いに注目して対策を講じていくことは賛成です。

ぜひ、皆様の会社・団体でも

当社では、健康経営コンサルティングサービスや研修ワークショップなどを展開しており、今回の講演(セミナー)の内容は、当社の日頃の活動からエッセンスをまとめて対応させていただきました。

アンケート結果でもご紹介したように、自社で展開するための資料(70ページ)は大変好評でした。

当日の講演内容にご関心がある方は、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ先に出向いての講演や、経営者のマインドチェンジのご支援についても、ご相談の上、対応させていただきます。