——担当者の悩みを会社のテーマにし、健康経営を経営の仕組みにする。代表からの問いかけ

今月は、健康経営を「経営の仕組み」にする道のりを、3回にわたってお伝えしてきました。今回はその総括として、私から、皆さんに一つの問いを投げかけたいと思います。
- 1本目:【入り口編】報告しても「あ、そうなの」で終わる。経営者が動き出す健康経営は、何が違うのか
- 2本目:【基本形編】設計図を描き、KGIリーダーが回す。健康風土を「創りだす」基本形
- 3本目:【進化形・着地点編】産業保健の重点事項も、同じ設計図へ。C社に見る進化形と、健康経営を経営の仕組みにする着地点
9月号では、「疲れた」の正体と、担当者任せの根っこをお伝えしました(9月号の編集後記)。10月号では、視点を経営に移し、役割を4層に分ける考え方と、設計図を描いて回す基本形、産業保健の重点事項も同じ設計図に入れる進化形をお伝えしました。
そのうえで、問いかけがあります。あなたの会社の健康経営は、誰のものですか。担当者のものでも、産業保健チームのものでもありません。経営方針を実現するための、会社全体のものです。このことを、担当者の皆さんと、経営者の皆さんに、それぞれお伝えします。
【担当者の皆さんへ】
一人で悩み、一人で汗をかいている。経営者には「任せた」と思われ、従業員には「また健康施策か」と受け止められる。そんな孤独を感じている担当者の方は、少なくないと思います。つらいですよね。でも、これは、あなたの力不足でも、あなたのせいでもありません。
あなたは、産業保健の専門職として、あるいはそのチームの一員として、従業員の健康を守る大切な役割を担ってきました。専門性に根ざした、欠かせない仕事です。一方で、経営方針を実現する健康経営は、もともと、その専門性の範囲には収まりません。経営層や、風土改革チームが担う役割です。本来は、あなた以外の人が踏ん張るべきところを、一人で引き受けてきたのです。
だから、「ここは私の役割を超えています」と、経営層に渡してよいのです。それは、責任の放棄ではなく、役割を、あるべき場所に戻すことです。4層に分ける考え方は、そのための道具です。
【経営者の皆さんへ】
立ち止まって考えていただきたいことがあります。健康経営は、従業員への投資を通して、組織を活性化し、生産性を高め、業績と企業価値の向上につなげる、経営の取り組みです。いま展開している健康施策は、その流れの中で、経営方針の実現にどうつながっているでしょうか。ヘルスケアの取り組みそのものが、目的になってはいないでしょうか。
任せるのが自然な形で始まったから、任せ続けてきた。それは、誰かの落ち度ではありません。ただ、ここが変わらなければ、担当者の孤独も、従業員の「また施策か」も、変わりません。経営が自分ごととして動けば、従業員にとっても、自分たちの働き方や、働きがい、生産性を高めるための、自分ごとの取り組みになっていきます。
【担当者の皆さんも、経営者の皆さんも】
誤解のないようにお伝えします。調査票への回答は、これからも続きます。産業保健は、健康経営の基盤として欠かせません。そして、健康経営優良法人の認定や順位は、めざす目的ではなく、経営方針を実現する過程で、結果としてついてくるものです。その土台の上に、経営としての健康経営を持ちましょう、という提案です。回答するだけの健康経営を、卒業する。調査票をやめるのではなく、回答だけで終わらせないという選択です。
最初の一歩は、小さくて構いません。担当者の方は、自社の健康経営を4層に当てはめて、どの役割が空いているかを確かめ、経営層に15分の相談を持ちかけてみてください(9月号の第3回でも取り上げました)。経営者の方は、担当者から相談を持ちかけられたら、その15分を受け止めていただけないでしょうか。そして、『健康経営戦略フロー図』と『健康風土醸成ロードマップ』を、一緒に使ってみてください。どれも、明日から始められることです。
A社のように、設計図のたたき台から始める道もあります。B社のように、伴走を受けながら、自分たちで回していく道もあります。C社のように、産業保健の重点事項まで同じ設計図に入れていく道もあります。会社ごとに、入口も歩幅も違ってよい。それが「100社100通り」の健康経営だと、私は考えています。
当社が、『健康経営戦略フロー図』と『健康風土醸成ロードマップ』を無償で公開し、このブログを書いているのは、健康経営を、日本の企業を元気にする経営の取り組みとして、広げたいからです。自社でできる会社は、ぜひ、ご自身で進めてください。そのための情報は、これからもお届けします。伴走が必要な会社には、当社が一緒に走ります。
悩みを抱えているのは、あなた一人ではありません。その悩みを、会社のテーマに変えていく一歩を、当社は応援し続けます。
ノストライフ株式会社 代表
橘田 孝
<Let us hear from you>
皆さんの会社の健康経営は、いま、誰のものになっていますか。感じていることを、お問い合わせからお聞かせください。