——【実行編】バックキャスティングでKGI(アウトカム)を描き、全員が主役になる組織づくり

全3回シリーズの最終回です。第1回で「経営戦略との連動」を、第2回で「独自のKGIを描く戦略マップの重要性」をお伝えしました。
しかし、どれほど素晴らしい設計図を描いても、それを実行する組織体制がなければ意味がありません。
今回は、担当者が孤独に調査票と格闘する状況を打破し、組織全体で健康経営を推進するための「4つの層」の役割と、実践的なツールをご紹介します。
目次
- 「健康経営=担当者の孤独な戦い」からの脱却
- 全員が主役になる『4つの層』のコーディネート
- 施策の目的化を防ぐ「NOST流・健康経営戦略フロー図」
- まとめ
1.「健康経営=担当者の孤独な戦い」からの脱却
健康経営の現場で頻繁に起きている悲劇は、調査票の記入や施策の実行が、健康管理を担う総務部や産業保健スタッフに偏ってしまうことです。
経営会議に健康診断の受診率を報告しても、経営陣から「産業保健については貴方たちの方がはるかに専門家なので特にコメントできないが、それが経営戦略とどう関係するの?」と冷ややかな反応をされてしまう。
これでは双方とも気まずいばかりの会議となってしまいます。
2.全員が主役になる『4つの層』のコーディネート
この状況を変えるためには、健康経営を「人的資本投資」として再定義し、組織内の『4つの層』がそれぞれの主役として機能する体制を組む必要があります。

経営層が主役(企業価値向上):
経営会議等で計画的に人的資本への投資判断を行い、産業保健分野の守りに留まらずに、ワーク・エンゲージメントを高める攻めの人的資本投資を展開しているか(自社の将来の成長に向けた人的資本投資戦略のPDCAの姿)をステークホルダーと対話する。
リーダーが主役(健康風土醸成):
風土改革チームを設置し、3〜5年後のKGI達成を目指したPDCAを回す。
産業保健メンバーが主役(健康課題解決):
専門職として、健康管理施策をレベルアップさせる。
担当者が主役(認定申請):
事務局として、各層の取り組みを総括し、結果として調査票に反映・申請する。
3.施策の目的化を防ぐ「NOST流・健康経営戦略フロー図」
ガイドブックの戦略マップは左(インプット/施策)から右(アウトカム/KGI)へと読み進める構造のため、どうしても「施策の実行」自体が目的化しがちです。
そこでNOSTでは、より実践的な『健康経営戦略フロー図』を無償で提供しています(クレジット表記要・商用利用禁止)。
これは、左側から「経営方針→目標」を展開するバックキャスティングと、右側から「施策→行動変容」を展開するフォアキャスティングが、中央の「アウトカム(KGI)」で出会う構造になっています。
これにより、施策はあくまで「KGI達成のための手段」となり、効果がなければ柔軟に入れ替えるという正しいPDCAが回るようになります。


4.まとめ:
健康経営優良法人の認定は、決して目的ではありません。
自社の経営戦略の達成に向け、現場が自律的に動き出す「健康風土」を醸成するための企業変革のプロセスです。
経営・企画・人事・産業保健がひとつのチームとなり、「本業を強くするための健康経営」へと舵を切っていきましょう。
今月のシリーズはここまでとなります。
次回は「編集後記」として、私たちがなぜ健康経営の現状に対してアンチテーゼを唱え、「100社100通りの健康経営」にこだわるのか、その背景にある想いをお届けします。
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